禁煙と喫煙の間

タバコに関するあれこれ

電子タバコ不要論

最近では電子タバコを吸ってる人をよく見かけるようになった。自分の周囲にもそういう人はちらほらいる。ふつうのタバコと並行して吸っていたのが、だんだん電子タバコのほうに重点が移動して、いまではもっぱらそっちばかり、という人もいる。

おそらくかつてタバコを吸ったことのある人間には、わりとすんなりなじめるもののようだ。しかし自分ではそういうものを吸おうという気にはなれない。なぜかといえば、見た目がまったく魅力的でないからだ。チャチな箱に細いストローを突っ込んでチューチュー吸っているような、あんなみじめな姿を他人には見られたくないのである。

──べつにカッコつけて吸ってるわけじゃないから。

まあそうかもしれないが、タバコを吸うという行為には、それに伴うかっこよさが不可欠のような気がするのだ。われわれが若いころにタバコに憧れたのは、やっぱりその吸ってる姿がカッコいいとか、そういうのも大きかったと思う。一種のダンディズムであり、喫煙という行為には大昔からこのダンディズムと切っても切れない縁があった。

タバコが好き、というより、タバコを吸ってる自分が好き、という人も多いと思うし、それはそれでりっぱな喫煙のあり方だと思う。それともうひとつ、これも若さの特権だが、不健康な行為で体を痛めつけたいという欲求も喫煙のなかに含まれている。一種の自傷行為であって、褒められた話ではないが、これもやはり広義のダンディズムであろう。

というわけで、男にとってはダンディズムの裏打ちのない喫煙などほとんどなんの価値もないのだ。私が電子タバコに手を出さない所以である。